建築設計事務所の設計で家をたてること
ハウスメーカーによる住まいづくり
ハウスメーカーによる建築のメリット/デメリット
施主は、住宅展示場や現場見学会を訪問し営業マンと出会います。
大抵は最初に応接した営業マンが担当者となって契約まで「夢のマイホームアドバイザー」として
世話役となります。
多くのハウスメーカーの営業職は、基本給+歩合給で契約実績が収入に大きく影響します。
営業マンが間取り提案(プランニング)をする会社があれば、設計職がプランニングを
作成する会社もあります。
パソコンでプランニングソフトを使用すれば、間取りパターン集を使って無難な間取り構成と
美しいプレゼンテーションを作成する事ができます。
設計職のスタッフがプランニングすると提案に遊びが入ってきます。
会社の方針としてプランニング打合せ3回目ぐらいで契約を目標としているところが多いです。
施主は、契約すると着工に向かって沢山のスタッフと接します。
会社によって違いはありますが、実施設計担当者、インテリアコーディネーター、
住宅ローン申込担当者、工事管理担当者、社内検査担当者と
数年後には顔を忘れてしまうくらい多くのスタッフが住まいづくりに参加してきます。
契約後営業マンは顔を見る機会が非常に少なくなります。
場合によっては住まいの引渡の時まで顔を見なくなる会社もあるのではないでしょうか。
この流れのようにハウスメーカーでの住まいづくりは社内の各専門部署で担当として
任命された者が施主と関わって完成に向かいます。
住まいの引渡後は、アフターメンテナンス部署の誰かが定期訪問します。
引渡1カ月後、6カ月後、1年後、3年後、10年目の定期訪問システムの会社が多いと思います。
ハウスメーカーでの建築メリットは何か?
住宅展示場やパンフレットなど費用をかけた印刷物が豊富なためマイホームの夢を想像し易い。
建設棟数が多いため標準仕様として固定した建材の大量仕入が可能となり、
良質な建材を格安で入手して提供される。
一方でデメリットは何か?
1棟に関わるスタッフが多いため人件費がかかっている。
また、CMや新聞広告などで露出を多くして会社の存在をアピールして
競争力を保たないと会社経営が厳しくなる。
その費用は住まいの価格に反映されています。
住まいづくりの関係が増えれば責任の分散にもなります。
いざ、トラブルが起きると誰が問題解決のリーダーシップをとるのか不明確。
または、責任のなすり合いという事もあります。
工務店による住まいづくり
工務店による建築のメリット/デメリット
施主は、地域に根ざして顔も知っている仲、地域の付き合いも昔からあるので
安心だからという理由で住まいづくりのパートナーとして工務店を選びます。
工務店の場合、大工棟梁が経営者で少ない人数で会社を運営している事が多いです。
棟梁は、プレイングマネージャーでプランニングも工事も自ら実施する事が多いです。
建築確認申請や工事に必要となる図面は協力会社の設計事務所に依頼します。
一概には言えませんが、頻繁に改正される法律対応や助成金や減税情報入手など
知識的な面を苦手とし、新しい事に挑戦する対応力が乏しいと言えます。
図面に関しては、建築確認申請図書以外、施主に建物の品質を記録した資料を
渡さない会社が多いです。
現行法の瑕疵担保責任履行法で新築住宅の多くは、第3者機関(保険会社)の検査を2回受けます。
基礎の配筋検査と構造躯体の検査です。
躯体検査には、防水の検査も含まれていますが、この検査は実際に施工されていなくても
検査員が現場管理者にどの様な方法で防水処理するかを聞き取りして終わります。
実際の施工状況は確認しません。この2回の検査以外の社内検査等は実施していないのが現状です。
工務店での建築メリットは何か?
住まいづくりの過程に関わる人が少ないためコミュニケーションを深く保って住まいづくりが進められます。
アフターメンテナンスも、建築に関わった人が実施するのでその家の事をよく知っていますので、
障害の発見が早い、修繕方法の判断も早いと言えます。
一方でデメリットは何か?
図面等の書類作成や管理を苦手としているため、施主に建物の品質を記録した資料が
渡らない事が多いです。
建物の登記簿謄本だけが大事な書類と思っている。自主検査も苦手にしています。
きっちりした図面がないため現場での都合に合わせて職人が適当に対応していきます。
時には不適格な施工も仕事のしやすさを優先して工事をしてしまいます。
情報入手や新しい制度の対応を苦手にしているため、そのメリットを生かした提案を
施主に提供できない会社もあります。
建築設計事務所の住まいづくり (ヒューマン環境建築設計の建築設計手法)
ヒューマン環境建築設計の建築設計手法
建築設計事務所の住まいづくり
(ヒューマン環境建築設計の建築設計手法)
建築設計事務所に設計を依頼する事は敷居が高いたと考えている方が多いと思われます。
また、建築コストに設計料が追加されるため、それを余計な費用または、贅沢なコストと
考えている方が多いようです。
しかし、本当に余計なコストなのでしょうか?
ヒューマン環境建築設計の建築設計手法
1.ヒアリング・・・
住まいの憧れや夢、好みについて現在の住まいに対する不満、住み人の育ってきた環境や風習などを
聞き取り、間取りや空間構成、住まいの形体の提案をするヒントを得ます。
2.敷地の調査・・・
その土地や地域の歴史を調べます。その土地は過去にどんな利用をされてきたか、
その地域に存在していたシンボル的なものはあったかなどの土地に関連する情報収集を行います。
3.コミュニケーション・・・
住まいは、そこに住まう全員共通の認識を持って完成されなければならない。
新しい住まいを考える上でそこに住まう人々全員の100%の思いを取り入れる事は、
非常にむずかしい事です。
住まい手の理想が法律に適合しないことや、複数の要望が矛盾している事もあります。
それを解決するのに話し合いを重ねたり、ポンチ絵で説明したりと設計者の立場と住まい手の
一員の視点からの両方の角度から共通認識を育てるまとめ役を担います。
4.プレゼンテーション・・・
プレゼンテーションは、平面図だけでなくイメージ図、模型を使って新しい住まいでの生活が
想像できるように工夫致します。
参考となる実際に建っている建築物があれば一緒に見に行きます。
この様にして私が住まい手に提案する建築の説明をしていきます。
5.設計と工事・・・
設計の提案を数回繰り返して方針が決まりましたら、建設を担当する工務店から見積りを取り
その見積りをチェックして施主に提示致します。
見積りの額は正しく積算された数値であるか。形状に過不足はないかをチェック致します。
設計と工事金額が合意となった時に建設会社と施主の契約が行われます。
建築設計事務所は契約書のチェックと契約立会を致します。
6.設計監理・・・
建築設計事務所の仕事には、「設計監理」という仕事があります。
「設計監理」とは、施工業者の工事が設計図書通りに実施されているか、工程が予定通りに
進められているかをチェックし、要所で検査を実施する仕事です。
工事現場では、計画時には予想できなかった事や設計図書通りに工事が実施できない問題点に
ぶつかる事が多々あります。
その時に現場の都合だけで問題の解決をするのではなく、施主の立場優先、解決方法が
違法とならないかを判断して解決を図ります。
7.設計監理報告書と竣工図書の作成・・・
設計監理の実施した内容をまとめた写真や図面を入れた報告書を提示致します。
住まいの引渡時には着工前の設計図書と変更になった点があれば修正して製本化した
竣工図書を提示致します。
8.建築は作品という意識・・・
建築家は、建築物を作品と捉えます。作品である意識は仕事の域を超えた情熱を思い入れて
設計に臨みます。
また、社会性を意識した挑戦を設計に込めます。完成後は、施主の了解を得られれば
マスコミ(雑誌等)に設計姿勢をアピールさせて頂きます。
9.ヒューマン環境建築設計の設計特徴・・・
私の設計は、内外空間の調和、半外部空間の取り入れを特徴とし、構造計画では、
「住宅の品質確保の促進等に関する法律」を意識して建築基準法では不足している部分を
住宅の品質の向上として設計に取り入れます。
内外空間の調和とか半外部空間とは、住宅ならば室内と庭の境の空間である。
この「あいまい」な空間に心地よさが存在していると考えます。
この空間を生む、活かすために高さ方向に広がる空間、光視環境の工夫で内外へと広がる
空間づくりを設計致します。
現代、次世代と不変なデザインとは何かを常に考えています。
ハウスメーカーや工務店の設計に対する費用
家を建てるには、必ず計画が必要になります。
そして、行政に建築基準法に基づく申請や品質確保が必要になります。
この業務が設計になりますが、ハウスメーカーや工務店も設計の費用を費やしています。
見積りには、50万円から70万円ぐらい計上されています。
ハウスメーカーの場合、社内規則で住宅性能評価の申請をしている会社も多くその費用は、見積りに反映されていないことが多いです。
しかし、経費は50万円程度費やしています。
その金額は、工事費の中に隠れて計上されています。
ハウスメーカーや工務店も設計に関する費用はしっかりと徴収しています。
工務店は、サービスという意識を持っているところが多く設計に対する業務の質は、悪く不足しています。
ヒューマン環境建築設計の設計報酬は、180万円程度です。
設計業務は、建築工事の適正価格のチェックをしていますので施主が支払う住まいづくりの総費用は設計事務所が介入したから大きく費用負担が増えるのではありません。
設計事務所と施主が一緒になって住まいづくりをする事は、余計な費用ではなく贅沢でもなく、より安心な住まいづくりができると思います。
設計図書の重要性
増改築工事の設計や耐震診断の依頼を受けて困難にぶつかる点でもっとも多いのが、建築物が建てられた時の図面が存在していない事です。
建築確認申請図書は必ず新築時には存在しているはずですが、その重要性の認識不足のためか、紛失している事があります。
図面が存在しないと建物の構成や材料の判断できないことや増築には、建築確認申請が必要となる場合が多いので既存の建物の確認申請図書がないと申請ができない事もあります。
住まいづくりの方程式
住まいの広さについて(住生活基本計画より)
最低居住面積水準
一般型誘導居住面積水準 | 都市型誘導居住面積水準 | |
---|---|---|
単身者 | 55㎡ | 40㎡ |
2人以上の世帯 | 25×世帯人数+25㎡ | 20×世帯人数+15㎡ |
※世帯の状況によてはこの表の限りではありません。
上記の表の数値は、最低守るべき数値となります。この面積ではまだゆとりある空間とは言えません。
見積書の見方について
見積書の形式は、工事会社によって違いがあります。
そのため、見積りを数社から取得して比較したときに単純比較が難しくなります。
一式で計上が多い見積書は注意が必要です。
数量等が図面から理解できるにもかかわらず一式の場合は、おおざっぱに見積もっているので、その工事が必要以上に高く見積もられているという事になります。
又は、低く見積もられていれば、何かしら現場で調整されることも考えられます。
工事監理(設計監理)と工事管理(現場管理)の仕事の違いと現実
工事監理は、工事を設計図書と照合して設計図書どおりに施工されているか契約書通りの工程及び品質で施工しているかの確認又は、検査する仕事です。
施主と現場の中間の立場に存在します。
工事管理は、工程の調整や建築材料の発注、現場の安全管理をする仕事です。
多くの施工会社は、工事監理者と工事管理者を兼任しています。
本来、この2つの職務を兼ねる事は難しく工事監理の視点がおろそかになっている会社が多くあります。